糖尿病には、カロリー制限と糖質制限!本当はどっちがいいの?
カロリー制限?糖質制限?
糖尿病の治療としてカロリー制限食が主流だったのが、最近になって糖質制限食が言われるようになったと思っていたが、以前に糖質制限食の時代があった。
文豪 夏目漱石(1867年から1916年)は、1916年(大正5) 4月、糖尿病と診断されました。
厳重食で治療し、糖尿病は著明改善ですが、残念ながら胃潰瘍のために 1916年12月9日死去しています。
1938年、43年の女子栄養大学「栄養と料理」の「厳重食)の解説を見ると、まさに、「厳重食=スーパー糖質制限食」です。この頃は糖尿病食といえば糖質制限食だったのです。
日本でも、1943年頃は、まだ厳重食の方が、幅をきかせていたようです。
厳重食
『肉類(牛、豚、鶏、魚肉、内臓、心臓、肝臓、舌、膈、腎臓、骨髄)、貝類、卵類(鶏卵、鳥卵、魚卵)、
脂肪類(バター類、豚脂、ヘッド、肝油、オリーブ油、ごま油、)、豆類(豆腐、油揚げなど)、
味噌は少量、野菜(含水炭素5%以下)小松菜、京菜、白菜、筍、レタス、蕗、大根、アスパラ、
果実(含水炭素の少ないもの)びわ、すもも、苺、いちじく、メロン、パイナップル、パパイヤ、りんご、蜜柑、夏みかん・・・
※ 梨、ブドウ、柿、バナナはやや糖質が多いので警戒を要する。』
糖質制限、食べて良いもの、控えたほうが良いもの
食べて良いもの
控えたほうが良いもの
気になる糖質 Q&A
Q,油はどんなものが良いの?
A,マヨネーズ、バター、魚油(EPA)、肉の脂身などの動物性油脂はヘルシーなのでおすすめです。化学的加工をしているマーガリン、サラダ油などは動脈硬化を進める「トランス脂肪酸」を含むので避けましょう。
Q,糖質の多い食品の代わりになるものは?
A,砂糖の代わりにはカロリーゼロで植物由来100%の甘味料を使うのがおすすめです。パンはコンビニなどでも小麦粉の代わりに小麦粉の表皮(ブラン)で作ったパンが売られています。麺類はコンニャク麺やとうふ麺で代替しましょう。
Q,お酒は飲んでもよいの?
A,焼酎、ウイスキー、ブランデーなどの蒸留酒、赤ワイン、辛口白ワインはOKですが、ビールや日本酒などの醸造酒、梅酒、甘いカクテルなどは控えたほうがよいでしょう。もちろん、糖質カットの商品はOKです。
知っておきたい糖質制限のウソ
糖質制限で高タンパク食であれば、骨粗鬆症になるどころか、骨の健康に大きく貢献します。
半世紀前に高タンパク食で骨粗鬆症になるという仮説がありましたが、最近では高タンパク食による骨粗鬆症や大腿骨頭骨折の予防効果の報告が多数発表されています。2002年に動物性タンパク質の摂取量が多いほど成人女性では骨の健康に役立ち、男性でも骨粗鬆症になると言う事はないと否定されています。糖質制限をすると高タンパクの食事になりがち。でもそれによってカルシウムが排出することがないのです。カルシウム不足にならないよう気をつければ大丈夫。
★糖質は生きていく為に絶対必要な栄養素(ウソ)
人間は「糖新生」というブドウ糖を作り出す生理機能があります。
「糖新生」はグリーコーゲンがなくてもブドウ糖を合成できる機能で、肝臓や一部の腎臓でも日常的に行われています。
「糖新生」は血中のブドウ糖濃度が低下した時に行われます。「糖新生」のエネルギー源は中性脂肪やアミノ酸などがメインとなります。
つまり、糖質でなくてもエネルギーはまかなうことができるのです。
★脂肪の取りすぎは体に良くない(ウソ)
炭水化物は、食べれば食べるほどまた食べたくなって、際限なく食べ続けてしまいます。
「甘いものは別腹」という言葉もあります。
酔ったときに、お腹はいっぱいなのに締めとしてラーメンやおにぎりをたべてしまうという方もいるでしょう。
一方、肉の脂身や揚げ物などをたくさん食べると、気持ち悪くなって「もうたくさん」というサインが出ます。それ以上食べると下痢してしまいます。
つまり、脂質は炭水化物と違って摂り過ぎるということが起こりにくい栄養素なのです。
★脳の栄養になるのは糖質だけ、糖質制限をすると脳機能が低下する(ウソ)
「脳にとって唯一の栄養源は糖質である」
メディアや書籍などでよくいわれる台詞です!
しかし実際には脳は、脂質から作られるケトン体もエネルギーとして使う事ができます。
「イヌイットなど徹底した肉食の場合でも、時々完全脂肪食を摂取するので、通常ブドウ糖しかエネルギー源として利用しない脳細胞も、この時は50~70%のエネルギーを脂質代謝産物(ケトン体)から得られるようになる」といわれます。
糖質制限すると糖質中心のエネルギー代謝が脂質中心に変わり、脂質から生まれるケトン体も増加。それが脳のエネルギー源になるのです。
いいことずくめ?糖質制限のメリット
①肥満・メタボ解消、糖尿病消失
②低血糖症の食後の眠気や易疲労感がない
③がんの予防効果
⑤睡眠の質がよくなるので、睡眠時間が短くても辛くない
⑥自律神経のバランスがよくなり冷え性が改善
⑦不眠・うつが改善、イライラしない、二日酔い予防
⑧てんかん発作の予防(日本小児神経学会)
⑪炎症反応が減少するので、リウマチや炎症性疾患の改善
⑬糖化の減少でシミ・しわと老化の抑制
⑭片頭痛消失
⑮タンパク質主体の少量の食事で満腹になり、空腹感減少
※糖質制限はやみくもに行うと逆に健康を損ねることがありますから、専門家の指導の元に正しい方法で行うことが大切です。