糖質制限とケトン体
ケトン体とは?
人間が活動するためには、体内でエネルギー源を作り出さなければなりません。
エネルギーを生成するための原料となるのがブドウ糖です。
ブドウ糖が足りなくなると、次に使われるのが脂肪ですが、この脂肪が燃焼されたときに肝臓で作られるのが ケトン体 です。
ケトン体は、アセトン、アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸という、3つの物質の総称です。
通常、私たちの脳は、エネルギー源としてブドウ糖しか利用できないとされています。
しかし、ケトン体は、ブドウ糖の代わりに脳のエネルギーとして使えるといわれているのです。
脳以外にも、さまざまな臓器のエネルギー源になるともいわれています。
人が生きていくうえで欠かせない三大栄養素といえば、たんぱく質、脂質、糖質です。
糖質というと、単純に砂糖・ケーキ・チョコレートなどの甘いものを想像してしまいますが、
普段、主食として食べているご飯、パン、麺類などにも糖質は多く含まれています。
※炭水化物と糖質は同じ仲間ですが厳密には違います。
「炭水化物=糖質+食物繊維」と考えたらよいです。
たとえば、以下のような症状を感じたことはないですか?
★怠け者症状
・集中力がない、思考が続かない
・朝起きられない、遅刻が多い
・ごはんを食べると眠くなる
・忘れ物・物忘れが多い
・疲れやすい、体力がない、常に疲れている
★身体と心の症状
・冷え性、便秘、偏頭痛、耳鳴り、肩こりなどがある
・貧血気味、めまいが起きやすい
・顔や足のむくみがひどい
・呼吸が浅い
・興奮したり落ち込んだり、気持ちが安定しない
・すぐイラつく、緊張しやすい
★依存症状
・甘いものを食べないと満足できない
・おなかが空いていないのに食べたくなる
・一口だけのつもりでつまんだお菓子が止まらなくなってしまう
このような症状も、主食(ご飯、パン、麺類)を含む糖質のとり過ぎからくると言われています。
現代人は糖質過多?
糖質に依存した現代人の食生活
精製炭水化物が誕生してからわずか300年
猿人からホモ・サピエンスに至るまでの700万年のうち699万年間は血糖値の変動幅が小さい狩猟採集生活(糖質制限食)の歴史でした。
しかし、皮肉なことに幸か不幸か20万年前に現れた我々ホモ・サピエンスは1万年前から穀類を生産する農耕を始めました。
農耕が定着した5千年前から食事における糖質の比重が次第に増え、さらに300年前の産業革命で精製炭水化物(砂糖・白米・小麦粉など)の製造が始まった。
この精製炭水化物がさらに糖質をとり過ぎる要因になってしまったのです。
糖質のとり過ぎを抑えるためには、GI値が低いものを食べる
同じ炭水化物でも、GI値の低いものを選べば血糖値の急上昇を押さえることが出来ます。
- GI値とは
- Glycemic Index(グリセミックインデックス)の略で、血糖値の上がりやすさを数値化したものです。GI値が70以上は血糖値が上がりやすい食材です。
炭水化物 | GI値 |
---|---|
白米 | 81 |
玄米 | 55 |
パスタ | 65 |
全粒粉のパスタ | 50 |
食パン | 91 |
フランスパン | 93 |
ロールパン | 83 |
ライ麦パン | 58 |
全粒粉のパン | 50 |
うどん | 85 |
そば | 54 |
餅 | 80 |
中華そば | 50 |
炭水化物がどうしてもやめられない、我慢できないという人は、GI値の低いものを選ぶことで少しでも血糖値の上昇を抑えることが出来るでしょう。
同じパンでも、ロールパンに比べてライ麦パンや全粒粉のパンではかなりGI値がちがいますね
糖質依存から抜け出す方法
薬物中毒と同じ状態ですから、抜け出すのはそれなりの覚悟がいります。
1日我慢したくらいでは依存から抜け出すことは出来ませんが、もし今自分が依存症だと気づいたなら、今日からでも糖質を減らしていきましょう。
「甘いもの」だけでなく、普段の食生活から考えていくことが大切です。
糖質制限でケトン体回路を作る
私たちの身体でエネルギー源として最初に使われるのは糖質です。糖質は体内でブドウ糖に変換され、脳や身体のあちこちに運ばれてエネルギーを作り出します。
エネルギーを作って糖質が不足するとまた甘いものが欲しくなります。それを繰り返すことで中毒になるので、その流れを断ち切ります。
そのためには糖質を制限して、糖質の代わりに「ケトン体」をエネルギー源として使うようにすればいいのです。
糖質がなくなると脂肪から「ケトン体」を作り出し、それをエネルギー源として使うようになりますから、この「ケトン体回路」を作ることで、糖質の摂り過ぎを防ぎます。
ただし、ケトン体のみでは脳の活動を維持できないので、砂糖も必要である…という見解もあります。